「大手企業開拓の教科書」を早割期間の購入してくださった方からいただいた質問を、回答集として付録にしました。
企業開拓の際の参考になれば幸いです。
- 大手企業へ初めて電話で連絡を入れる際、意識していることはありますか?
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二点あって、一つは「窓口(最初に電話を受ける人)には簡潔に伝えてさっさと担当者に繋いでもらう」ことです。
窓口の人は組織の内情などは全く知らず、めんどくさい仕事や自分で判断できない・分からない案件は担当者にさっさと繋ぎたいという行動心理で動いています。なので、彼ら彼女らに頑張って説明しても物事は進まないんですよね。
よって、内容を簡潔に伝えたあと、「○部署の担当者に繋いでください」と早急に電話を引き継いでもらうことが大事です。
二つ目は、「窓口や担当部署が動かざるを得ない状況を先に作っておくこと」です。
先に書いたように、窓口や担当部署はめんどくさい案件や取引先でもない人からの電話はシャットアウトしたり、「担当から折り返します」と言ってそのまま放置するということも多いです。
なので、あらかじめサンプルや手紙を送っておいて、それらが届いているかの確認という程で電話をかけると反応をもらいやすくなります。
窓口としては、「あ、手紙(サンプル)を送ってるということは、その部署の関係先の人かもしれない。無視したら部署から怒られるかもしれないから、とりあえず繋いでおこう」という心理になるので、担当部署に繋いでもらえる可能性は高くなります。 - 企画書や提案書を作るときに、大事な構成や要素って何ですか?
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いくつかありますが、僕が意識しているのは、
・会社概要や沿革は最後に載せる
・まずは商品/サービスの紹介、そのあとに料金プラン
・資料のデザインは重要。文字だらけでなくできる限り写真や図解を多く
・相手先がどのようなシーンでその商品/サービスを利用するのかを明確に書く重要なのは、商談する相手だけでなく、その担当者が上席に説明する際にそのまま見せられる資料になっているかどうかです。大手企業は担当者だけで契約を決めることはできず、上席を含めた部署の稟議を通す必要があります。
この時に、担当者が新しく資料を作り直す必要があるほど、担当者の負担は大きくなり「もう、めんどくさいし後回しにしようか」となりやすいです。
担当者がそのまま稟議で出せるような資料を心がけて作ることが大事で、そのために意識しているのが上に挙げた内容になります。 - 商談で予算や価格の話をするタイミングがわかりません。いつ切り出せばいいですか?
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商品/サービスの全ての紹介が済んだあとに料金の話をするのが定石です。
最初に料金の説明をしてしまうと、サービスのプランなどの前提条件によって価格が変わりすぎて先方も混乱するので、商品/サービスの全体像の説明→料金の説明という流れが自然だと思います。 - 初期段階であまり興味を持ってもらえなかったら、どんなフォローアップをすればいいでしょう?
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担当者が興味を持たなかった理由が、そもそものタイミングや予算の問題なのか、提案内容の問題なのかを最初の商談ではっきりさせておくことが大事です。
「時期的に厳しい」「他の案件で手一杯」といった事情なら、少し期間を置いてフォローするとか、別の切り口でアプローチするとか、次の手が打てますからね。
あとは成功事例の更新やイベントの招待など、「その担当者が得する情報」を送っていくと関係が途切れにくくなって、タイミングがきたら話が進むことも多いです。 - 大手企業は部署間の調整が多いと聞きますが、根回しはどう進めればいいでしょう?
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「誰が本当のキーパーソンか」を早めに見極めることが大切です。担当者レベルでOKと思っていたら、さらに上の役職が最終決裁権を持っているケースも多いですから。
担当者→課長→部長→役員…という流れがあることを見越して、誰に見せても納得してもらえるような資料・FAQを用意しておくと、社内説得がスムーズに進みやすくなります。 - SNSやホームページで企業からの問い合わせを獲得したいのですが、うまく活用する方法はありますか?
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基本的に大手企業の担当者からの問い合わせ(インバウンド)はかなり稀です。コンプラもあるので、よほどあなたが有名だったりその業界で実績がないと、初手で向こうから連絡してくることはないと思います。
その上で、SNSを使うとしたらLinkedinで繋がり、こちらからメッセージを送るというのは良いかもしれません。
Linkedinは仕事上の繋がりを目的としたSNSですし、実際大手企業の担当者や決裁者も多く登録しています。 - 展示会やイベント、セミナーで大手企業と繋がるにはどうしたらいいでしょう?
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これは結論、自分から出展したりイベント・セミナーで登壇する側になるのが一番良いと思います。
同じ参加者として繋がろうとしても、相手からするとたくさんいる担当者の一人で印象には残らないですし、そもそもあなたの話を聞きに来たわけじゃないので、仲良くなれる可能性は少ないでしょう。
自分が出展したり登壇すれば、気になる企業にアプローチをかけても自然ですから、多少金額が掛かっても「出る側」になることをお勧めします。 - 社外のパートナーやエージェントに営業を任せるのはアリですか?メリット・デメリットが知りたいです。
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最初から営業を外部委託することは、あまりお勧めしないです。
企業取引の考え方として、「自分で売れないものは他人にも売れない」というのがあります。あなた自身でまず開拓することで「こういう企業にこういう切り口なら売れるんだな」というデータが溜まっていきますから、そのデータを持って営業代行会社に徐々に任せていくというのはアリだと思います。
0→1は必ずあなた自身がやること、1→10は適宜外注を使うというのが良いでしょう。 - 「小さい会社だから相手にされないのでは…」と不安です。どう対応すればいいでしょう?
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結論、向こうはあなたの会社(事業)の規模には全く興味がないので、気にする必要はないです。誤解を恐れずにいうと、彼らは意外と世間知らずで会社=自分たちのような大組織しか存在しないとすら思っている可能性もあります。
そこまでいかなくても、大手で働く人ほどその職場しか知らず小規模事業者や個人事業者への解像度はかなり低い人がほとんどです。気にせずアタックすることです。 - 大手企業と一度契約した後、長期的に関係を維持するにはどうすればいいですか?
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定期的に「こんな成果が出ています」「今後こういう取り組みも可能です」と報告したり提案したりするのが大事です。
大手企業は年度末や下半期に予算編成を行うことが多いので、そのタイミングに合わせて「追加でこんなことやりませんか?」と持ちかけると、次の案件につながる可能性があります。彼らは(自分にとって美味しい)案件はどんどん提案してほしいというのが基本スタンスなので、厚かましくこちらから連絡をとり、提案をするのが良いでしょう。 - 担当者が異動したり退職したりしたときに、話がストップしないようにするには?
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むしろ、担当者が変更になったタイミングの方が物事が動くことは多いので、チャンスだと思います。
担当が変更になったタイミングで必ず先方からお知らせのメールが来るので、この時に「ご挨拶したいので一度お伺いしてもよろしいでしょうか?」とアポを取ることができます。
これを機に、今まで進まなかった話が動き出すことも珍しくありません。 - 大手企業との商談で起きがちなトラブルや課題には、どんなものがありますか?
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意思決定が遅くなること。稟議書にハンコをもらうまでに時間がかかったり、承認ルートが複雑だったりします。もう一つは、途中で要求や仕様が変わることがあるという点。担当者が交代したり、社内で追加要望が出てきたりして、最初の提案から大幅に手直しが必要になることも珍しくありません。中長期で進めるという視点と、臨機応変祭が大切ですね。